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IJFルールの試験的導入について

IJF新ルールは、2013年2月からリオ世界柔道選手権(8月末から9月にかけて開催される)までの間、試験的に導入され、結果を踏まえて再度協議した後に正式決定され、2016年リオデジャネイロ五輪まで採用される。

(目的)
 近年、お互いに防御に徹するあまり、組み手を嫌い、「投げる」のではなく、「指導」によって勝利を得ようとする選手が多く見られる傾向にあり、柔道の魅力が損なわれている。お互いに組み合い、技を掛け合う場面を多くすることによって柔道を知らない人にも魅力的でエキサイティングな柔道として伝わることを求めている。

(1)1人審判員
 これまで主審・副審(2人)は、試合場で同じ目線によって瞬時の判断をしていたが、柔道の技が非常に早いため、見る位置・角度によって意見が異なり混乱する場面が多くあった。
 以前は、副審はビデオを見る立場になかったが、今後2人の副審は試合場から降りてジュリー席でケアシステム(ビデオ)を確認しながら試合場の主審をサポートする役に徹することで、最大限正しい判断を示すことにつなげる。
 IJF主催大会では、ジュリー席に専任として役員1人が常駐する場合は、審判員(従来、副審であった)1人が交互にジュリー席に着くことになる。
 主審はイヤフォンを装着し、ジュリーから適切なアドバイスを受けたり、逆にジュリーにアドバイスを求めることもできるが、明らかな判断の誤りが生じない限り技の高低等の介入は控える。

(2)「一本」の価値について 「一本」の価値を再度しっかり確認し、ローリングしたような弾みのない場合は最高で「技有」となる。また、背部の着地面だけで判断するのではなく、技の本質を理解して「一本」を判断する。

(3)ブリッジの判断
技が決まった時に受けがブリッジをした場合、例え背中が畳に触れていなくても、主審は「一本」を宣告できる。(従来の考えと大きく変わることはない)


(4)「指導」について
 1回目から3回目の「指導」は相手のスコアに反映しない。但し、4回目は「反則負け」として相手が勝者となる。
 試合終了のとき、スコアが同等の場合は「指導」が少ない選手が勝者となるが、スコアも「指導」も同等の場合のみゴールデンスコアの延長戦を行い、先に「指導」を与えられた選手が敗者となり、先にスコアを獲得した選手が勝者となる。
 積極的な、またしっかりとした組み手の柔道をしている場合は「指導」を与える必要はないが、ネガティブな柔道(例:組合わない、偽装攻撃、防御姿勢)に対して厳しく「指導」を取るようにする。
 4回目の「指導」(=反則負け)を与える場合、あるいはGS中に片方へ「指導」を与える場合、明らかな場合は主審の判断で与えても良いし、ジュリーに意見を求めても良い。また、ジュリーからアドバイスすることも可能。

(5)ゴールデンスコアの時間
 無制限とする。

(6)組み方について
 「片襟を握る行為」は、攻撃しないで5秒を超えて握り続けていると「指導」が与えられていたが、帯を握ったり、クロスグリップを含めて、(標準的な組み方以外の組み方をした場合)直ちに攻撃しなければ「指導」が与えられる。
①一方の選手が組み手にネガティブな行為(腕を払うなど)を繰り返した場合は「指導」
②両手で相手の釣手を切った場合は「指導」
③片手で自分の襟を握り、もう一方の手を使って切った場合、その後すぐに攻撃するか、積極的に相手の柔道衣を掴みにいく等、ポジティブな組み手をすれば「指導」は与えられない。ただし、切るだけの行為を繰り返せば「指導」が与えられる。
④相手の組み手を、自分の片手を使って(握って)切った場合、その後、すぐに攻撃するか、積極的に相手の柔道衣を掴みにいく等、ポジティブな組み手をすれば「指導」は与えられない。ただし、切るだけの行為を繰り返せば「指導」が与えられる。
⑤相手の組み手を、叩く(はじく)ようにして切った場合は「指導」。
⑥脚を使って切るのは、自身の脚に腕を引きつけて切る場合も含めて「指導」。
⑦相手が釣手を取りにきたところを、両手で掴む動作は「指導」ではない。
⑧両袖を握り、下に落として、相手の組み手を妨害した場合、攻撃をしなければ「指導」。
⑨後ろに下がるなど、組み方に消極的な場合は「指導」。
⑩ケンカ四つの場合、引き手を掴むために探り合っている場合でも、より消極的な方に「指導」を与える。
⑪自身の襟を手で押さえる等、相手が釣手を握るのを妨害した場合は「指導」。
⑫奥襟などを持って、相手をブロックしている場合は「指導」を与える。これは、今までのルールにもあったが、今後は明確に「指導」を与えていく。
⑬奥襟を持って、相手に対してプレッシャーを与え、技を掛けることなく、ただ単に相手を引き倒すように腹ばいにさせた場合は、倒した方に「指導」を与える。
⑭クロスグリップの場合、直ちに技を掛けない場合は、「待て」→「指導」となる。これは、従来どおりであるが、厳密に適用されていなかった。しかし、今後は厳しく適用。
(例)クロスグリップの状態から内股を掛けた場合。
 イ.投げた場合はスコアを与える。
 ロ.投げられず膠着状態(ケンケンの状態)になった場合は「待て」。それを繰り返す場合は「指導」。
 ハ.投げられなかった時に、すぐに通常の間合い(相手と対面する位置)に戻った場合は特に考慮しない(「待て」も「指導」も与えない)。

(7)ベアハグについて ベアハグの定義について、組合っていない場面から直接相手を抱えて投げた場合のみベアハグとし、1回目から「指導」とする。片手でも組んでいる場合はベアハグにあたらない。
 ベアハグを仕掛けてきた相手を返し技(内股等)で投げた場合はスコアを優先する。

(8)帯から下への攻撃・防御の禁止
①立姿勢において、相手の帯から下への攻撃・防御は、全て「反則負け」となる。寝姿勢と判断されれば攻撃しても防御しても「反則負け」とはならない。
②立姿勢から寝姿勢に移行する際に脚を攻撃・防御した場合も「反則負け」とする。明確な「寝姿勢の状態(相手が腹ばいになる、立技から明確なブレーク時間がある等)」にならないと取りも受けも脚を掴んではいけない。
③相手の帯から下に触れたくらい(クリアにブロックしていない場合)では、「反則負け」としない。
④巴投や隅返等を掛けられた場合、相手が技を掛けている段階で脚を掴んだ場合は「反則負け」ただし、完全に施技が終わり寝姿勢になった後であれば問題ない。また、それらの技を防御するために伏せた結果として触れた程度は「反則負け」とはしない。
⑤自身が背負投を掛けて、相手がそれを受けて内股で返した場合、手で相手の脚をブロックしたような状態になった場合であっても、極端な場合(抱え込む等)でなければ「反則負け」とはしない。
⑥大腰や裏投を掛ける時に、帯の周辺に手がかかった場合でも、「反則負け」とはしない。
⑦相手の柔道衣が、帯の中に収まっている時に帯から下を掴んだ場合は「反則負け」となる。ただし、帯から柔道衣が出ている場合は裾を掴んで攻撃することは認められる。故意に相手の柔道衣を帯から出した場合は「指導」が与えられる。
⑧両手で組んでいる場合、肩車や小内巻込等で腕や肘が相手の脚に触れたとしても「反則負け」にはならない。
⑨「反則負け」は、主審および2名のジュリーが100%認めた場合にのみ与える。

(9)寝技について場内で「抑込」が宣告された場合、両者が場外に出たとしても「抑込」は継続される。絞技・関節技に関しても、技の効果が認められる場合のみ、両者が場外に出たとしても継続される。
「抑込」は10秒で「有効」、15秒で「技有」、20秒で「一本」となる。

(10)その他の事項
①柔道衣チェックをより厳しくしていく。
②世界選手権に関して、最大参加者数がシニアは男女各9名、ジュニア・カデは同10名とする。
③2013年より、グランドマスターズ、グランドスラム・グランプリでも「敗者復活(ベスト8以上)」を導入する。
④選手の計量は試合前日に行われる。その際、体脂肪、体水分量等を測定できる特別な体重計を使用する。計量は、試合当日、最初の試合前の柔道衣チェックの際にも行われる。
⑤カデ(18際未満)の大会において、関節技を許可する。
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by kawaguchidojo | 2013-01-31 08:32

IJFルールの試験的実施について

 IJFは、ルール改正の試験的実施内容の統一を図るため、1月中に世界5大陸でセミナーを開催することとなった。 初回は、1月12・13日にヨーロッパ大陸を中心にスペインのマラガで、またアジアは1月26・27日にウズベキスタンのタシケントで開催されることとなり、各国とも審判員1名、コーチ1名が参加して開催される。
 日本はアジアでのセミナーに参加予定をしていたが、初回となるヨーロッパ・スペインのセミナーを重要視して双方に審判員・コーチを派遣することとして準備を進めている。
 これらの改正内容はあくまでも試験的実施であり8月下旬のリオ世界選手権まで試験を行い、大会終了後再度協議して調整を行うとされている。
 全柔連審判委員会としては、一部世界代表につながる予選会では試験的内容を取り入れる可能性もあるが、他の国内大会は当面旧ルールで行い、IJFの最終決定を見て対応を決めることになると思われる。
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by kawaguchidojo | 2013-01-09 11:36